マスカレード・イブの単行本が見つからない!?あらすじや見所を紹介!マスカレード好きは絶対読むべき短編集!

本・映画

マスカレードシリーズは東野圭吾さんの推理小説シリーズです。

東野圭吾さんの作品の中でも屈指の人気を誇り、原作シリーズは累計発行部数445万部を突破。

一流ホテルを舞台に、従業員に扮し潜入捜査を行う刑事・新田浩介とホテルのフロントで働く山岸尚美がホテルの利用客を相手に難事件に挑む人気作です。

マスカレード・イブはシリーズの第2作目。

前作「マスカレードホテル」の前日譚となる短編小説で、主人公2人が出会う前の物語が描かれています。

しかし、購入しようとしてもマスカレード・イブの単行本が見つからないの不思議ですよね!

ここでは、その理由や、あらすじ・その見所をネタバレなしでご紹介します!

COCO
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推理小説としても楽しめますが、主人公2人の新人時代や過去が描かれている為、2人をより理解することができ他のシリーズに深みがでてさらに面白くなります!「マスカレード・ホテル」が好きな人は必読の1冊です!!!

マスカレード・イブの単行本が見つからない理由

いきなり文庫化!

2014年8月21日に集英社文庫より出版。

 
東野圭吾さんの提案で単行本化を経ずにいきなり文庫を刊行する「いきなり文庫」という形で発売。
発売から約1ヶ月半で発行部数100万部を記録。

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通常、単行本が発行された後、文庫化されるまで数年かかります。しかし、マスカレード・イブは東野圭吾さんの提案でいきなり文庫化されたので単行本が発売されていないんです!

参考:東野圭吾:「マスカレード・イブ」が1カ月半で100万部突破 – MANTANWEB(まんたんウェブ) (mantan-web.jp)

内容

ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾のミリオンセラー。

引用:マスカレード・イブ (集英社文庫) | 東野 圭吾 |本 | 通販 | Amazon

マスカレード・イブ各章あらすじ

それぞれの仮面

山岸尚美がコルテシア東京に就職して4年目の物語。

ようやく念願のフロントオフィスに配属され1ヶ月。

ホテルクラークとしては新米の山岸の前にかつての恋人・宮原隆司が客として現れる。
宮原は元・プロ野球選手タレント・大山将弘のマネージャーになっていた。

その日の夜、宮原は山岸を呼び出し一緒にいた女性が自殺を仄めかして失踪してしまったと相談する。宮原は2年前に結婚しておりその女性は愛人であった。

妻や会社に内緒にしたいという宮原の意向を受け、山岸は呆れつつも愛人の捜索に協力する。

捜索を進めるうちに山岸は意外な真相にたどり着くことになる。

ルーキー登場

捜査一課に配属されたばかりの新人刑事・新田浩介の物語。

ホワイトデーの夜、実業家・田所正一がジョギング中に何者かに殺害された。

捜査が行き詰まる中、殺された田所の妻・美代子の証言から1人の男性が逮捕される。
その男は美代子が経営する料理教室の生徒・横森仁志だった。

横森は美代子に夢中で自分と美代子が結ばれるために田所を殺害したと自供。

事件は解決したかに思われたが、新田だけはこの事件の動機に違和感を覚えていた。

やがて新田はある人物の狡猾な素顔に気づき事件の真相にたどり着く。

仮面と覆面

コルテシア東京に典型的なオタク5人組が宿泊する。
彼らは人気女流作家・タチバナサクラの熱狂的なファンであった。

タチバナサクラは20代の覆面作家として活動しているが、この5人組は彼女がかなりの美人である証拠を入手していた。
そして彼女がコルテシア東京に宿泊することを突き止め、一目会おうと画策していたのだった。

タチバナサクラの編集者・望月に事態を知らせた山岸だったが衝撃の事実を聞かされる。

なんとタチバナサクラは玉村薫という50代の中年男性だったのだ。

その秘密が明らかになることを防ぐ為に奮闘する山岸だったが、宿泊中の玉村の不思議な行動に疑問を感じ更に驚きの事実を知ることになる。

マスカレード・イブ

ホテル・コルテシア大阪がオープンしてから約1ヶ月。
山岸尚美は新人の教育係もかね東京から応援として勤務していた。

一方、東京では大学教授の岡島孝雄が教授室内で刺殺される事件が発生。
岡島はある開発の研究をしており、その利権を動機として共同開発者の准教授・南原が容疑者として浮上する。

南原は殺害時刻に不倫相手の女性と大阪のホテルにいたと主張するが、迷惑をかけたくないと彼女の名前やホテル名を明かすことを頑なに拒否した。

警察は殺害の容疑をかけられても不倫相手を隠そうとする南原の真意を掴めずにいたが、遂に南原はホテル名を白状する。

そのホテルこそ山岸の働くコルテシア大阪だった。

新田と共にこの事件を追う所轄の刑事・穂積理沙は捜査の為、コルテシア大阪に行き山岸と出会う。

山岸の助言により事件のヒントを得た穂積は新田と共に事件を解決に導いていく。

マスカレード・イブの見所

山岸尚美の新人時代

第1作目の「マスカレード・ホテル」では山岸のフロントクラークとしての姿勢やプロフェッショナルさが光っていました。

また、第3作目の「マスカレード・ナイト」ではコンシェルジュに抜擢され、数々のお客様の難題に答えていく様子が描かれておりそのスキルに磨きがかかっています。

そんな彼女の新人時代の失敗談や未熟さがみれるのがマスカレード・イブの魅力。

マスカレード・イブを読むと山岸の成長をより感じることができるので感慨深いです。

そんな彼女の新人時代のエピソードをご紹介します。

利用料金を声に出して読み上げてしまった

  • お客様とそのお連れ様の前でホテルの利用料金を声に出して読みあげてしまった
  • そのお客様は、格安のパック料金であることを連れの女性に隠していた
  • 「人に聞かれたくない理由もあるんだから少しは気を遣え」と叱られた

年の差カップルを父娘と間違えた

  • ディズニーランドのパンフレットを眺めていた女性を見て、「これからお嬢様とディズニーランドですか、いいですね。」と男性に声をかけた
  • 女性は吹き出し、男性客は仏頂面で何も答えなかった
  • 年の差カップルだったと気が付いたが、取り繕う言葉が見つからず気まずい空気が流れた
  • 笑みを浮かべる余裕もなく「お気をつけていってらっしゃいませ」の言葉もでてこなかった 

ホテルクラークとしての信念を貶めるような発言をしたお客様への発言

  • あるお客様から山岸に対してホテルクラークの信念を貶めるような発言があった
  • 不快感で熱くなり強い言葉を吐き出したい衝動にかられたがぐっと抑えた
  • 口元を懸命に緩め発言をしたが、その言葉を聞いたお客様の表情から憎悪が溢れた

その山岸の言葉を紹介します。

私どもは、どんなにお金を積まれてもお客様の仮面に隠された本当の顔をほかの方に教えることは絶対にございません。その素顔が美しいならともかく、醜ければ尚のことです。

引用:東野圭吾著/マスカレード・イブ/P63 山岸尚美のセリフより
COCO
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強い衝動を抑えた山岸はさすがだと思います。しかし、結果的に選んだ言葉もお客様を不快にさせている点で未熟さを感じました。

他の2作の成長した山岸尚美なら、きっと不快にさせるような表現を選ばなかったのではないでしょうか。

新田浩介はハイスペック

帰国子女で英語が堪能、見た目が上品という理由でフロントクラークとして潜入捜査を行うことを命じられた新田浩介。

マスカレード・イブではその理由と彼の育ちの良さが伺える描写があります。

①新田浩介の住居と家族

  • 麻布十番に自宅がある
  • 両親と妹はシアトルにおり、父親は日系企業の顧問弁護士をしている
  • 父親の仕事の都合で10代の前半の2年をロサンゼルスで過ごした

②物の価値に直ぐに気が付く

新田浩介は捜査で訪れた被害者宅の調達品や装飾品を一瞥しただけで、直ぐにその価値に気が付きます。

例えば、

  • 黒の革張りソファはニコレッティ
  • サイドボードに並んでいるワイングラスは、バカラの「ダークサイド アン・パルフェ」
  • 被害者の妻がしている指輪にはハリー・ウィストンのダイヤが光っている

などです。

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ニコレッティのソファは、新田の実家が改装した時にカタログで見たそう。

しかし、「当たり前すぎる選択だ」と父親が避けたというエピソードがあります。一瞥しただけで物の価値に気づく新田から裕福なご家庭で育ったことが伺えます。

特に、バカラの「ダークサイド アン・パルフェ」はかなりのレアもの。

6つのワイングラスのセットですが完成品は1つだけ。

他の5つはどこかに欠陥があり、わざとセットにすることで哲学的な意味を持つのだそうです。

東野圭吾さんの編集者の描き方

「仮面と覆面」では編集者の望月が登場します。

望月の口から編集者の仕事がどういうものであるか語られるシーンがあるのですが、「東野さんの考えなのでは?」と邪推してしまい面白かったので紹介します。

「大変ですね、編集者さんのお仕事って」
「動物園の飼育係と同じです」望月は真顔でいった。
「習性を理解して、おだてたりなだめたりしながら付き合っていく必要があります」
笑うのも変かと思い、そうですか、と答えておいた。

引用:東野圭吾著/マスカレード・イブ/P149 山岸尚美と望月の会話より

マスカレード・ホテルの前日憚

「マスカレード・イブ」は前作「マスカレード・イブ」の前日憚となっており、前作で描かれた場面やセリフのエピソードも明らかになります。

その為、「マスカレード・ホテル」への伏線として楽しむことができます。

また、この短編では山岸尚美が経験を積み

「マスカレード・ホテル」と同じレベルの対応力を発揮します。

私の好きな山岸尚美のお客様への心構えが伺えるシーンをご紹介します。

  • ある宿泊客が若手ホテルクラークに近くの中華料理の店を訪ねた
  • 若手クラークは上海蟹をメインに提供する店を紹介した
  • 山岸はそのお客様が2ヶ月前にも宿泊され蟹アレルギーであったことを覚えていた
  • 代わりに北京ダックが有名な店を紹介すると自分を覚えていたことにお客様は驚嘆した

対応後、若手ホテルクラークに

「2か月も前のお客様の顔をおぼえているなんですごい!」

と言われた際に山岸が答えたセリフです。

お客様の顔を見ながら、この方に何をしてあげられるだろう、自分は何を期待されてるだろうって考えるの。そうすれば覚えられる。

引用:東野圭吾著/マスカレード・イブ/P253 山岸尚美のセリフより

マスカレード・イブまとめ

  • マスカレード・イブの単行本が見つからないのはいきなり文庫化されたから
  • 前作「マスカレードホテル」の前日譚となる短編小説で主人公2人が出会う前の物語
  • 主人公2人の新入社員時代や過去のエピソードが描かれている
COCO
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ネタバレなしで紹介している為、各短編の核となる推理小説部分は極力触れませんでしたが1篇1篇が推理小説として完成しています。どのエピソードも裏の裏を突くような展開でページをめくる手が止まりません。

マスカレード・ホテルが好きな方は絶対読んでほしい一冊です!

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